発明を楽しみながら商品化しよう!

街の発明家の皆様方は、誰しも自分が発明したものが商品化され、世の中に出ることを夢見ておられることと思います。やまさんもその一人です。でも、やまさんは発明を楽しみながら商品化することを心がけています。発明活動の考え方や、これまでの活動で学んだことを書きます。

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【発明の楽しみ】

●発明の楽しみの一つにアイデアを考える楽しみ(生み出す楽しみ)があります。歩いていても電車の中でもトイレの中でも何か面白いアイデアはないか考えていると他のことを忘れてしまします。アイデアも漠然とではなく、我が家で使って便利なものにある程度しぼっています。

●「人間は考える葦である」と言ったのはフランスの哲学者パスカルですが、考えることは人間の特権かもしれません。布団に入ってなかなか寝付かれないときに、いろいろアイデアを思い浮かべるといつのまにか寝てしまします。

●我が家で使って便利なものであれば、たとえ商品化できなくても女房に喜んでもらえればよいし、自分で使って便利であればそれで満足です。

●また、発明の楽しみに、生み出したアイデアを試行錯誤しながら作る楽しみがあります。頭に描いた通りにいかなかったときはがっかりしますが、気をとりなおして何度もやりなおした結果うまくいったときの達成感はなんともいえません。最初からうまくいくことはまずありません。あきらめないで辛抱強くやることだと思います。

●発明に関する作品応募がいろいろあります。それに応募して大きな賞を受賞するのも発明の楽しみです。受賞を楽しむのはいいことですが、大きな賞を受賞するとすぐに商品化できると思い込む人がいます。受賞と商品化は必ずしも一致しないことを知ることです。それは受賞の審査基準が商品性だけでなく発想の面白さとか奇抜さとか審査する側の都合などがあるからです。私の経験では大きな賞だけでなく入選の中からも商品化されたものは多くあります。むしろ後者の方が多いかも知れません。

【発明を通して出会いの楽しみ】

●世の中には奇特な方がおられるものです。先日開催された全国発明婦人協会西部支部主催「暮らしの発明工夫展」の発明品即売コーナーでやまさんのカラフルビーンズを販売しましたが、大変好評で最終日を待たずに完売してしまいました。最後に買われたお客様はご年配の紳士でしたが、残り十数個を全部お買い上げ下さいました。それから一ヶ月経ったある日、その方からまた、15個の注文が入りました。聞くと会社を経営されていて萩の出身だそうで、皆さんにプレゼントをするのが楽しみで、カラフルビーンズをプレゼントすると皆さんから喜ばれるのでまた注文されたそうでした。大変嬉しく有難いことですので早速作って納品しました。そうしたら萩の特産のマーマレードを送って下さいました。そして、そのうちにまた注文をして下さるそうです。発明品を自分で作って販売しているとこのようなお客様と出会う楽しみがあります。

●先日大変楽しいメールが小学6年生から届きました。ライブドア事件に代表されるように、お金を動かすだけで大金を稼ごうとする若者がもてはやされる昨今ですが、このような小学生がいることを知り嬉しくなりました。それで、そのやりとりを紹介させていただきます。赤字が小学生から届いたメールで、青字が私から出したメールです。

<届いたメール1>

初めてお手紙差し上げます。
いま、僕の学校では、将来の職業について調べています。
僕の目指す夢は発明家なのです。
そこで、あなたから、ご意見をいただけたらと思います。
もし少しのひまがありましたらお答えください。
①発明を始めたのはいつですか?
②発明のいいところはどこですか?
③アイデアはどんなときにうかんできますか?
また、どんなときにうかんできませんか?
④良いアイデアがうかぶようにするにはどうすればいいと思いますか?
⑤あなたが、いままでにしてきた発明の中で一番よくできたものは、何ですか?

<出したメール1>

はじめまして。
楽しく面白いお問い合わせですね。
私が学生のころはインターネットもありませんでしたし、職業も何となくサラリーマンになろうというぐらいで特に意識もしていませんでした。
今の学校はインターネットを利用して職業調査をするということを知り、世の中の変化をつくづく感じます。
発明家を目指しているそうですが、あなたのような若者がいるということを知って、大変嬉しく思います。
日本は資源に乏しい国です。
発明家になって、国を豊にする大きな発明をして下さい。
楽しみにしています。
ところでお問い合わせの答えは次の通りです。

①発明を始めたのはいつですか?
⇒学校を卒業して社会人になってからです。
しかし、それは会社の仕事の中での発明で、個人では退職してからです。

②発明のいいところはどこですか?
⇒世の中にないものを創造する喜びです。
それと、人々のお役にたてることです。
あとはよい発明をすると、報酬を得られることです。
私は現在退職してライフワークとして発明をしています。
アイデアを考える楽しみ、良いアイデアが浮かんだときの喜び、試作品を作る楽しみ、試作品がうまくできたときの喜び、商品化して販売する楽しみ、販売したものをお客様に買っていただく喜び、発明はいろいろな楽しみや喜びがあります。

③アイデアはどんなときにうかんできますか?また、どんなときにうかんできませんか?
⇒会社の仕事での発明は、与えられたテーマを解決するために考えているときです。
個人の発明は、家の中で日常生活をしていて浮かぶことが多いです。
その中でも、女房が家事をしているのを見て思いつくことが多いです。
また、すでにある商品を見て、もっと良いものがないかと考えて浮かぶこともあります。
浮かんでこないときは、的を絞らずに漠然と考えているときです。
それと、アイデアを出そうという意識をしていないときは、浮かぶこともありますが、浮かばない方が多いです。

④良いアイデアがうかぶようにするにはどうすればいいと思いますか?
⇒昔から必要は発明の母と言いますが、不便と感じるもの、こんなものがあったらいいな、とヒントになるものをいつも探すことだと思います。
そして、ヒントになるものが見つかったら、手帳に書き留めておくことです。
その中から、具体的に解決するアイデアが思いつくと、それが発明につながります。
良いアイデアかどうかは、発明品がお客様に受け入れられるかどうかで判断すべきもので、常にお客様のニーズを把握することが必要です。

⑤あなたが、いままでにしてきた発明の中で一番よくできたものは、何ですか?
⇒仕事としての発明は、オートバイのタンク側面に絵柄を印刷する「曲面印刷機」です。
個人の発明では、手が届かない背中に一人で湿布が貼れる「湿布貼付具」です。
一番売れている商品は「カラフルビーンズ」で、レジ袋の持ち手の部分に手が痛くないように付けるグッズです。

以上ですが、分らないことや、他に質問がありましたら遠慮なくして下さい。

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<届いたメール2>

ありがとうございました。
とても参考になるご意見でした。
これからの勉強に役立てたいと思います。
本当にありがとうございました。

<出したメール2>

お役に立てて嬉しいです。

ところでこちらからちょっとお尋ねしたいのですが、よろしければTakuya Inagakiさんの学年を教えて下さい。

私のホームページをご覧になったと思いますが、先のメールで紹介した私の発明品のページをお知らせします。

「曲面印刷機」    <http://www.h6.dion.ne.jp/~juncons/A29_1.htm#1>

「湿布貼付具」    <http://www.h6.dion.ne.jp/~juncons/E9.htm>

「カラフルビーンズ」 <http://www.h6.dion.ne.jp/~juncons/E10.htm>

<届いたメール3>

失礼しました。
年齢は、12歳小学6年生になります。^^;
本当にありがとうございました。

<出したメール3>

さっそくご返事ありがとうございました。
私が6年生のときは、職業のことなど全く考えないで、魚を獲ったりして遊んでばかりいました。
日本には本田宗一郎や松下幸之助、最近では青色発光ダイオードの中村修二さんのような偉大な発明家が大勢います。
彼らのおかげで産業が発展し、私達の生活が豊かになりました。

Takuya Inagaki さんも偉大な発明家を目指して勉強に励んで下さい。

【どうしたら発明ができるか】

●発明はどうしたらできるのかとよく聞かれます。でも、発明の方程式はないと思います。昔から必要は発明の母といわれているように、これは不便だから何とかしたいとか、こういうものがあったらいいな、というヒントが出るかどうかだと思います。ヒントが出たら忘れないようにすぐにメモをしておきます。そうしてあとからヒント集を取り出して具体化する方法を考えて、考えが浮かんだものから実際にうまくできるかどうか試作品を作って試してみるようにしています。

【発明と特許出願】

●ところで発明品したらすぐに特許を取得する人がいます。特許を取らないと真似されてしまうと思っています。しかし、特許を取得するにはお金がかかります。真似する方もよほど素晴らしい発明でない限り、大金をかけて真似することはないと思います。特許を取る前に、本当にそれだけの価値がある発明なのかじっくり考える必要があります。そうでないと特許貧乏になってしまします。

●アイデアが浮かんで試作し、うまくいったと思って急いで特許出願するのは考えものです。使っているうちに必ず改良点がでてきます。そのためにも我が家で使って便利なものだと完成度を早く高めることができます。

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●試作品ができたら自己満足しないで、違った人に違った環境で問題がないか確認してもらい、完成度を高める必要があります。新しい発明品を親しい発明仲間に試作品を送りモニターをいらいしました。この発明仲間はこれまで二つの商品にスポンサーがつき、相当の契約金とロイヤルティーを得ています。発明品が商品として受け入れられるか、経験に基づいた厳しい判断ができる人です。モニターの結果はやはり改良すべきところを指摘されました。それで、再度試作品を作って送りました。願書もかなり変更しなければなりません。最初の試作品は女房の意見を取り入れたものですが、私自信が必要としない発明品のため判断がつきませんでした。しかし、指摘されたことは納得できました。

●出願した後改良点がでてきたときは1年以内だったら「国内優先権主張」で再出願できますが、出願手数料は再度かかりますので、やはりあわてて出願しないことです。そうはいっても早く出さないと誰かが先に出願しないか気があせりますが、未熟なものを出して後で後悔するより少し我慢する気持ちが大切です。自戒を含めて。「国内優先権主張」で再出願したときは、審査請求の期限は再出願の日から数えますので参考のため。

●また、発明品の中でも手づくりでできるものを商品化の対象にした方がいいと思います。そして、出願だけはしておいて、手づくりで作って販売してみて、売れる見通しがたったものを審査請求するようにした方が、無駄なお金をかけずにすむと思います。

【商品化のお話】

●さあ~出願したら商品化活動開始です。特許を出願しただけでは特許にお金をかけただけで一銭もお金になりません。お金にするには特許出願したアイデアを商品化しなければなりません。

●しかし、商品化そのものはやろうと思えばそれほど苦労しないでできます。ところがどっこい、売れる商品にしようとすると、これが発明するより大変です。また、売れる商品でも売るところがないと売れません。これがまた、なかなか売るところが見つかりません。発明家の皆さんは誰しも経験する現実です。

●商品化の方法はいろいろあると思います。

①自分で投資して工業製品化し、販売ルートを確立する。これは金型投資やカタログや包装材のデザインや製作費に多大なお金がかかり、金銭的なリスクが伴います。しかし、成功すれば儲けが大きく一財産築くのも夢ではありません。じゅんちゃんの発明仲間でこの方法で商品化した方がいますが、最初の金型投資で500万円ぐらいかかり、その後製品の不具合対策で金型を修正するのに1回当たり50万円ぐらいかかり、それを何回か繰り返しているうちに、最終的には1000万円を超えたそうです。これだけ投資して回収するのが大変です。中には商品化に失敗し、その後居所が不明になった方もおられると発明仲間から聞いたことがあります。

②アイデアをメーカーに売込んで商品化してもらい、契約金とロイヤルティーをもらう。街の発明家が目指しているのはほとんどこの方法です。この方法だとリスクがなく発明者は何もしないでお金が入ってきますので結構なことですが、売り込みに成功する確率は千分の1とか万分の1と低い。また、ロイヤルティーは卸値の3%ぐらいで大量に売れないと大した収入になりません。しかし、ヒット商品になると数百万から数千万円のお金が稼げます。ある主婦の発明品で数億円稼いだという話もあります。

③手作りで作って身近に販売してくれるところを見つける。この方法はリスクがなく確実に商品化できますが稼ぎはあまり期待できません。身近な発明仲間が経営しているお店などが対象になります。

④量販店を数多く見つけ、手作りで間に合わないものは加工メーカーに出す。この方法はリスクも少なく、稼ぎも期待できますが、量販店と加工メーカーをどうやって見つけるかがポイントですが、これが一番難しいところです。このためにはできるだけ多くの発明仲間をつくり、また、インターネットを利用することも有効な手段です。じゅんちゃんが今まで量販店と加工メーカーを見つけたのは発明仲間からの情報です。それと、やはり直接量販店に売り込みに行くあつかましさも必要です。これは恥ずかしくてなかなかできないことですが、やってみると案外親切に対応してくれます。しかし、中にはかなり厳しいことをいうところもあります。それにめげないことです。

●やまさんは①の投資の方法はやらないことにしています。会社組織で事業としてやるなら別ですが、個人の発明は大きなリスクを負うべきではないと考えています。個人の発明は楽しむもので、無駄なお金はかけないようにしています。それで、最初は②のメーカーに売込む方法でしたが、この方法では商品化してくれるメーカーが見つかるまでお金が全然入りません。それで、③の手づくりの方法を併用することにしました。

●③の手づくりの方法ですが、手づくりするにはそれなりの道具が必要です。しかし、やまさんは部屋の中で作っていますので大型の道具は置けません。それで、電気で動く道具は電動ドリルだけで、あとは小型の万力と金ノコやホームセンターで売っている便利な小道具を買ってきて使っています。それと、自分なりに治具を工夫しています。

●発明品の中には結構縫製が必要なものがあります。それは女房に半世紀前に購入したアンティックな工業用ミシンを使って縫ってもらっています。また、包装や梱包作業が結構あります。これも女房の役割です。

●発明を続けるには女房の理解が大切だと思っています。女性の場合は御主人の理解が必要だと思っています。手作りのときはなおさらです。

●③の手づくりの方法をしばらくやっていましたが、次第に注文が増えてきて手づくりでは間に合わなくなってきました。それだけでなく、やはり毎日同じものを作っていると飽きがきます。それで最近は④の方法のように加工メーカーを見つけ、そこに出すこともやっています。加工メーカーが見つかり、大量に生産できるようになると、量販店を探してそこで販売してもらうことができます。

●ただどうやって加工メーカーを見つけるかが問題です。インターネットで調べたり、発明仲間に聞いたり、商工会議所に相談したりいろいろなやり方をしています。

●それと、どうやって販売店を見つけるも問題ですが、④に書いたよう度胸を決めて、自分で直接売込む方法しかないようです。先日も近くのホームセンターとデパートに電話で売込んでみました。ホームセンターは営業部長が対応に出ましたが、メールでパンフレットを送ってくれとのことで送りましたが断られました。デパートはさすができちんと日時を決めて会ってくださいました。しかし、これから売場の大幅なレイアウト変えがあるのでだめだと体よく断られました。売り込みは難しいですが、根気よく続けることだと思います。

●しかし②のアイデアをメーカーに売込む方法を諦めたわけではなく、金型投資がいるものや専門メーカーでないと作るのが難しいものは②のメーカーに売込む方法にすることにしています。

●②のアイデアをメーカーに売込む方法を具体的に書いてみたいと思います。

● アイデアをメーカーに売込む方法はいろいろあります。

①電話で売込む。

②会社を訪問して直接売込む。

①も②もかなり度胸が必要で、やまさんは苦手でほとんどやりません。また、相手の都合でなかなかアポイントがとれない問題があります。

③手紙で売込む。

一般的に利用されている方法です。やまさんもほとんどこの方法です。

●ここで、アイデアを買ってくださる会社をどうやって見つけるかです。いろいろあると思いますが、やまさんは下記の方法をやっています。

①アイデアを買うメーカーのリストが載っている本を買って調べる。

②いつもホームセンター・スーパー・雑貨店を見てまわり、自分の発明に関連がありそうな会社の住所と電話番号を書きとめる。

③発明仲間を多くつくり情報を交換する。

④いろいろな発明団体に参加して情報を入手する。<全国発明婦人協会><知的夢工房>

⑤いろいろな催しに参加する。<暮らしの発明展><特許流通フェア><フクオカベンチャーマーケット><モノづくり総合展>

⑥ホームページでアイデアを募集している会社を探し応募する。

●売込む会社が見つかったら売込開始です。それで、一般的にやられている手紙による売込について説明します。手紙による売込は切手代80円か90円ですみますし、相手が不在でアポイントがとれないということもありません。メーカーにとっても余計な時間をとられることがありません。

●売込の手紙の書き方はいろいろあると思いますが、やまさんは挨拶と提案理由を書いた書状と企画書及び発明品が分る写真を同封しています。企画書はあるメーカーから新商品の企画会議に必要なので企画書としてまとめてほしいと言われてからそうするようにしています。挨拶は出来るだけ簡潔にして提案理由も発明のいきさつや発明展でとった賞や第三者の反応など簡潔で客観的に書くようにしています。企画書はアイデアの要約と構造の特徴及びセールスポイントに分けて書くようにしています。写真はデジカメで現物単体と使用状態が分るところを撮って編集しています。また、サンプルや図面及び特許書類は、メーカーが関心を示したら送ると書くようにしています。

●手紙を出すと丁重な返事がきます。しかし、全て返事が来るとは限りません。一度統計をとったことがありますが返事が来たのが47%、来なかったのが53%でほぼ半々でした。

●返事が来るまでの日数は早かったのが5日、遅かったのが65日、平均すると27日でした。

●アイデアを求めている会社の本を買ってそこに記載されている会社に出したことがありましたが、倒産したのか住所が変更になったのか宛先不明で返送されてきたものが何件かありました。

●メールで返事をだすメーカーもあるし、電話で内容を確認してくるメーカーもあります。

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●中には切手を同封することを要求するメーカーがありますが、私はそのようなメーカーは社外アイデアを尊重しないメーカーと判断し以後出さないことにしています。社外アイデアはメーカーにとってもただで消費者の情報が得られるのですから有り難いことだと思うのですが。

●自社に開発部門があるから社外アイデアは受け付けていないと返事がくるものもあります。

●ほとんどのメーカーは不採用の理由は書いてきませんが、中には丁寧に理由を書いてくるメーカーもあり、アイデアの商品性を検討するのに大変参考になります。じゅんちゃんはできるだけそのようなメーカーに出すようにしています。

●提案したアイデア受付担当者の判断で断る場合と、企画会議にかけて採否を判断する場合があるようです。

●メーカーが関心があればサンプルを送ってくれと書いてきます。特に関心が高ければ電話がかかってくることがあるそうですが、じゅんちゃんはそのような経験は残念ながらありません。

●最初のうちは返事が来るのをわくわくどきどきしながら待っていましたが、なかなかいい返事がもらえず回を重ねるごとにそうでもなくなりました。

●サンプルを見て改良を要求してくるときもあります。最終的にはモニターをしてその結果で決まるようです。

●何回も同じメーカーに出していると担当者と親しくなる場合もあります。

●スーパーやホームセンターで売っている台所や風呂場や食卓で使う日用品の大手メーカーのLという会社がありますが、そこの社外アイデア受付担当者で特許担当マネージャーの吉澤さんという方と親しくなり、3年前に定年退職されたがその後も交際が続いていて、全国発明婦人協会本部の暮らしの発明展で上京した時に、渋谷の忠犬八公の前で待ち合わせて一杯やったことがあります。その時に、どちらかが商品化に成功するまで割り勘で、成功した方がおごることにしようと言うことになりました。吉澤さんはまたメーカーの立場でみた商品化に関する「そのアイデア買います」と「アイデアの生み出し方」の2冊本を山水社から出されています。このホームページのPRのページに詳しく掲載しています。

●メーカーに売り込むことによりそのメーカーが求めているアイデアを知る場合があります。以前なべ蓋たてのアイデアをS社に出した時に線材を使った商品を企画していることを知りました。

●手紙による売込みのほかに売込み代行業者に依頼する方法があります。

●先ほど紹介した吉澤さんが本の中で、信用できる業者ということでS社を紹介していたので依頼したことがあります。

●入会金2000円会費2年会費3000円、契約が成立した場合契約金と実施料の30%を手数料として支払う条件でした。

●業者が発明者に代わってメーカーへ直接訪問してくれたり、ビジネスショーの展示会に出展して売り込みの代行をしてくれました。

●展示会の場合、一作品につき二日間で5000円の出展料を支払いました。

●まじめな信頼がおける業者で出展結果をその都度きちんとまとめて報告書を提出してくれましたが、アイデア売込み代行業はビジネスとして採算がとれず結局撤退しました。

●このS社は信用できる斡旋業者でしたが、街の発明の世界は悪徳業者が多いので気をつけた方がいいです。

●その他に公的機関を利用する方法があります。

●その他に私がアイデアを売り込んでいる手段として、福岡県知的所有権センター<http://www.joho-fukuoka.or.jp/intellectual/>

が毎年発行している<開放特許ガイドブック>への掲載があります。これは発明協会のアドバイザーの方から紹介して頂きました。2001年度から無料で掲載してもらっているが、まだ問い合わせはありません。また、特許流通データベース<http://www.pref.iwate.jp/~kiri/chiteki/IPguide/database.html>

へ登録する方法もあります。これに登録すると全国ネットワークのホームページに無料で載せてくれます。

●また、全国発明婦人協会の発明仲間から紹介されて、<特許流通フェア>へ3年前から参加しています。これに出展するには審査がありますが、2m×3mの広いブースを無料で借りることができます。まだ、商談には結びつきませんが、中小企業の社長さんと情報交換ができ、フェアで知り合った数社の社長さんとその後もお付き合いが続いています。

●やまさんはこれまでに50社以上アイデア提案をしましたが、まだ一社も採用されたことがありません。関心を示してサンプルを送って欲しいと返事があった会社は数社ありましたが結果的には採用されませんでした。

●でも、宝くじと同じで売込をしなければ採用だれる可能性は0です。切手代は80円です。100社に出しても8000円ですから、諦めないで売込むことだと思います。

●私の発明仲間に何人かメーカーの売込に成功した人がいます。その人達から話を聞くと、メーカーに採用されるには、アイデアが良いのはもちろんですが、その他にどうも運というか、巡りあわせのようなものがあるように思います。

●<Aさんの場合>

Aさんは洗面用具と調理具の二つの発明にスポンサーがつきました。

洗面用具は先輩の発明仲間のBさんから紹介された日用品メーカーを、懇意にしてもらっていた発明愛好会役員のCさんと訪ねていって売込に成功したそうです。

調理具は、親しい発明仲間のDさんに製品化のことを相談したところ、「日用品メーカーの担当者が、Dさんが出展している発明展を見に来るのであなたの作品もついでに見ていただこう」と紹介してくれることになりました。ところが、発明展の会場で二人の作品を見た担当者は、Aさんの作品の方が気に入って製品化が決まったそうです。

●<Eさんの場合>

Eさんは台所用品の発明にスポンサーがつきました。この台所用品は発明展の入賞作品ですが、発明展が終了して暫くたってから大手雑貨店のY社からメーカーを紹介され、そのメーカーとスポンサー契約できたそうです。

ところでY社からメーカーを紹介されたいきさつについては、次のようなエピソードがあります。

ある時、Y社の担当者からAさんに電話がありました。

Aさんは先の調理具を納品していた関係で担当者とは懇意でした。「Aさん、探してほしい商品があるのです。こんな形の商品をお客様から売ってほしいと、言われたのです。あれば、当社でも販売したい」。話を聞いてそのような商品は会員の発明品には無いことが分りましたが、発明愛好会役員のCさんに電話しました。Cさんは永年役員を務めていて、いつも会と会員の為を考えている人でした。「Aさん、このお話は会員の作品ではないけれど、よく似た作品をBさんがもっているので、Eさんを紹介しましょうよ」。納得したAさんはEさんにY社の担当者を紹介したのです。その後、EさんはY社から逆コースでメーカーを紹介され、契約を結び、Y社だけでなく、全国に販売されることになったのです。

Aさんはこの件に関しては感慨深いものがあるそうです。まず、第一に、Y社が探していた商品より、Eさんの台所用品の方が担当者の心を捕えたこと。第二に発明愛好会役員のCさんの一言で決まったことだそうです。Aさんは発明愛好会と会員の為に尽くしたCさんの事を生涯忘れられない人だと話されています。

●<Fさんの場合>

Fさんは発明暦25年の大先輩で、これまで遠方まで直接会社を訪ねて売込をしてきましたが、一度も成功したことがありませんでした。ある日突然X社から電話がかかってきて、Fさんが発明したテーブルウェアの採用が決まったそうです。相手はX社の開発担当役員で、Fさんが出演していたテレビを見て電話してきたそうです。

●以上、これらの事例から言えることは次のことだと思います。

1.発明展で展示された。

2.大手雑貨店が商品化の媒体になった。

3.発明仲間からメーカーを紹介された。

4.テレビに出演した。

これらはスポンサー獲得に結びつくヒントです。手紙や電話で売り込むのが一般的ですが、地道に発明活動をやっていると、ちょっとしたきっかけでスポンサーがみつかるようです。<行動するところにチャンスあり!> それにはその発明を、メーカーが自社商品として採用したくなる魅力的なものであることが前提条件です。そして、暮らしの発明展やその他のイベントにできるだけ出品して多くの人の目に留まるようにすること、また、東急ハンズのような大手雑貨店を商品化の媒体として利用する、それから、発明仲間を増やし仲間同士メーカーの情報があったら交換しあうことが大切なようです。

●発明するより売るほうが難しいと言われています。売ることはアイデアをメーカーに売るのと、発明品を自分で売るのとあります。メーカーにアイデアを売込む難しさは書きましたが、発明品を自分で売るのも、売って下さるお店を見つけるのがこれまた大変です。なんぼ売れる商品を発明しても売るところがなければ売れません。発明は誰でもできます。そんなに難しいことではありません。しかし、発明を売ることがどんなに大変なことか発明を経験すればするほど分ってきます。

●しかし、いずれにしても自分が発明したものをお客様に買っていただく、これは発明家にとって最高の喜びです。お客様に喜んでいただける商品を発明する。そうすればいつかは発明品が売れるようになると信じてやっています。

【発明活動でのご注意】

●いろいろな発明展があります。そして、そこで○○大臣賞などの大賞をとると、すっかり舞い上がって商品化すればすぐにでも売れると錯覚をする人がいます。そして、商品化するために大金を投じて金型までおこし、大量に生産したけれども全然売れずに借金だけ残ったという人がいます。発明展の大賞は、商品としての価値があるのではなく、面白さとか奇抜さとかいろいろな評価ポイントがあることを知る必要があります。むしろ、入選ぐらいの方が、商品化して売れるものが多いようです。じゅんちゃんの発明品も、ほとんどが大賞でなく入選したものです。商品化して良く売れているものの中に、入選もしなかったものもあります。主催者側もそのことを受賞者に理解させるべきです。

●特許が公開されると、それに載っている発明者の名前と住所からいろいろな業者から斡旋の誘いの手紙が来ます。数万円の手数料を振り込むように書いてあります。しかし、そんなに簡単にメーカーが見つかるとは思えません。それよりも、自分で会社を探して手紙で売り込めば、100社に出したとしても1万円以下ですみます。

Author: hadmin

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