生物と電子部品を統合するような「合成生物学」が急速に発展中

生物学の研究を統合して生命機能や生命システムを工学に応用する「synthetic biology(合成生物学)」という学問が盛んになっています。アメリカの軍事研究所は、今後10年以内に微生物を使ったセンサーやアクチュエーターが登場すると予想しています。

The Army’s looking into putting bacteria into its electronics | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/12/the-armys-looking-into-putting-bacteria-into-its-electronics/

アメリカ陸軍軍事研究所(ARL)は、生命体と非生命体を合成することで、人間の能力を高めたり、電子部品を作ったり、自律的な生命デバイスを作ったりすることを目的とする合成生物学の研究を進めています。ARLのブリン・アダムス博士は、「合成生物学の進歩によって、私たちは生物を電子端末の制御に活用できるスタート地点にいます」と述べ、合成生物学の実用化が近いと予測しています。

合成生物学は生命体のメカニズムという生物学の知見を工学分野に応用する学問ですが、DNA配列を解明したりDNAを合成することに成功したことで、2000年代に入り著しい進化を遂げているとのこと。すでに、廃棄物からエネルギーを生み出すバイオ燃料のようなシステムは実用化が近いレベルまで到達しています。

ただし、合成生物学が次のステップとして目指しているのは、光合成によってエネルギーを自己創出するような電子デバイスであり、このような「生物のシステムを非生物に配置すること」は非常に難しいとのこと。アダムス博士によると、遺伝子回路を組み込むホストに大腸菌を用いた実験では、単純な情報を記録することに成功しているものの、これはあくまで実験室という特定環境下においてであり、自然環境下でも構造を維持して機能を持たせることはできていません。

しかし、合成生物学の進展速度は目を見張るものがあり、アダムス博士は、5年以内に工学的に操作された細胞が生態系に統合されるだろうと予想しています。具体的には陸軍は、兵士をより強くし、回復力を高め、特定の感染症に対する免疫力を高めるように、合成生物学を応用しようと考えているそうです。そして、10年後には生物と非生物を統合することで単純なセンサーやアクチュエーターが作られ、軍や政府だけでなく民間レベルでも合成生物学の実用化が進むだろうと予想しています。

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